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文学部大学生の本紹介

【向日葵の咲かない夏】狂気のミステリー…最高のイヤミス

はじめまして。こちらの記事ではちょっと一息つきたい時是非お勧めしたい小説を紹介していきます。

今回ご紹介するのはこの暑い夏にぴったりな、ヒンヤリ涼しくなるホラー小説【向日葵の咲かない夏】です。

 

目次

 

 

「僕は先生に殺された。僕の体を探してほしいんだ」

 

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出典【https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61cm1sazhCL._SX354_BO1,204,203,200_.jpg

 

 

あらすじ

小学4年生のミチオは終業式の日に、欠席していたS君の家へ届け物をしに行く。きい、きいーという音とともに、S君が首を吊って死んでいた。ところがその死体は姿を消してしまい、S君は姿をかえミチオの前に現れる。「僕は殺されたんだ。僕の体を探してほしい。」犯人は誰なのか、なぜ死体が消えてしまったのか、事件を追いかける。

 

感想

最高の叙述トリックです…。一貫して異様な雰囲気が漂い気味が悪いです。一緒になって推理をしていくと最後にひっくり返されます。「ひっくり返る」という表現では足りない程の衝撃でしたが…。

妹の遺骨の一部を、僕はいまでも大事に持っている。当時僕が使っていた、背の高い硝子のコップに入れて、ラップをかけ、机の上に置いている。

開幕から不穏。妹が死んでいることが描かれているが、物語にはミチオと妹は仲良しに描かれている。なぜ死んでしまうんだろう…と不安が募る。

 

なにより、登場人物皆が歪んでいる。

心霊の怖さよりも、こういった人間の不気味さも涼しくなりますね…。

 

あはあはと笑いながら、背筋がしびれるような感覚に囚われながら、逃げ回るS君を見ていた。拳の下で、女郎蜘蛛のつぶれる、ぶち、という感触がした。全身から液を洩らして、ぴくりとも動かなかった。

ミチオの異常性も怖い。物語が進んでいくにつれて見えてくる残虐性がどんどん雲行きを怪しくさせていく…。

 

 

本当夏にぴったりなホラー系の小説でした。幽霊よりも人間の狂気の方がよほど怖いですね…。