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文学部大学生の本紹介

あるぱかJDの本棚 メリバと言えば…!【三日間の幸福】

はじめまして。こちらの記事では現役女子大生がオススメする、ちょっと一息つきたい時のお供になる文学作品を紹介しています。

今回は三秋縋先生の、「三日間の幸福」という作品を紹介させていただきます!

*ネタバレはしていませんのでご安心ください!

目次

 

 

いなくなる人のこと、好きになっても、仕方ないんですけどね。

 

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あらすじ

「寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。」

寿命・健康・時間のどれかを選んで売り、対価としてお金がもらえる。対象者が自暴自棄にならないように、監視員としてミヤギという女の子と生活を共にしていく。主人公クスノキは寿命を売り、残された三か月という期間で何かを成し遂げようとするが、全てにおいて裏目に出てしまう。人生のタイムリミット目前に、クスノキは最大の幸福を見つけていくー。

 

心に残ったポイント

これまで俺を生に繋ぎとめていたのは、「ひょっとしたら、いつかいいことがあるかもしれない」という浅はかな期待だった。

この一文、割と刺さる人は多いのではないでしょうか。生死にかかわらずとも、「もしかしたら」という気持ちで希望を抱きがち…。何かに期待しては裏切られる、結局そんなうまく現実は変わらないものですよね。経験がある人はこの主人公クスノキに共感できる部分があると思います。

 

「三十年より価値のある三十日、か」別れ際、代理監視員の男はそう言って笑った。

終わり良ければ総て良し、なんて言葉がありますよね。私はこの言葉を信じていて、これまでの道筋ももちろん大切ですが、事の結末が美しいほど充実感が増すという経験はありませんか?例えば学生時代、テスト勉強に追われたり、部活でへろへろになって辞めてやる!なんて思ったりしても卒業して振り返れば綺麗な思い出であることが多いと思います。

どれだけ今が辛くても最後にはそんなこともあったな、と思える幸せを大事にしたいものです。

 

感想

残酷で美しい、恋愛を通して人生を考え直していく物語でした。読む人の人生観が問われる作品だと思います。

何十年も無駄な人生を過ごしてしまうのならば、終わりを決めて価値のある毎日を送りたいと私も願います。(当たり障りのない平凡で緩やかな日々がなによりの幸せだとは思いますが…。)

身近に考えるのなら、もし余命宣告をされてしまったら、その後どのように生きますか?

愛する人との時間にすべて使う、挑戦してみたいことをやる、世界一周、なんてきっと沢山出てきますよね。

でも、人生の終わりが実感できないと行動に移せない。終わりを告げられてから気づく。

「本当はこんなことがしたかったんだ」「こんなに素晴らしい世界だったんだ」と、後悔してからやっと人生と世界の美しさに気づけるのだと思います。